2004年1月5日 報道資料用調査報告 内閣府認可 特定非営利活動法人(NPO) 現代用語検定協会 (Association for Contemporary Words Exams) 代表理事 荒 井 治 郎 協力 教育開発出版(株) 「現代用語の基礎知識 学習版」 文部科学省「子どもと話そう」 全国キャンペーン参加事業 2003年を子ども達はこう見た! 『10大ニュースと意見』 第4回「ジュニア・ジャーナリスト大賞」(J・J大賞)調査報告 謹啓 貴社益々ご清栄の段お慶び申し上げます。  さて、内閣府認可NPO 現代用語検定協会では「現代用語能力検定」「作文/小論文検 定」を主催しておりますが、2000年より「ジュニア・ジャーナリスト大賞」(J・J大 賞)を実施しています。この大賞は、『子どもが選ぶ重大ニュース』と『100字コメントコ ンクール』の2部構成になっています。今年は第4回目にあたり、2003年12月に実施、 このほど、その集計結果をまとめました。本調査は、首都圏を中心に約1000名の児童・ 生徒を対象にアンケート記入方式及び協会ホームページでのメール応募により実施しまし た。  現代の子ども達が、情報はん乱状況のなかで、21世紀の3年目の出来事にどのような関 心を持ったのか、その一端が知ることができる調査結果となっています。ぜひ、ご高覧い ただき、報道資料等に御活用いただければ幸いです。 敬 具 ● この件に関する問い合わせ先 ● NPO現代用語検定協会 事務局 〒206-0823 東京都稲城市平尾1-54-6 Tel 042-331-2172 Fax 042-350-6217 ホームページ http://www.genken.com/ Eメール genken@khaki.plala.or.jp 事務局長 浅沼美末 調査結果から  第1位は「米英軍がフセイン政権を打倒したイラク戦争」でした。第4位の「イラク復興支 援法が成立。自衛隊のイラク派遣で論議高まる」を合わせると、子どもたちが2003年、「イラク 戦争」のうごきに強い関心を寄せていることがわかります。また、「100字コメント」でもその 多くのテーマにイラク戦争をとりあげ、多くの子どもたちが自らの考えを記述していました。 第2位は世界を震撼させた「SARS」(サーズ)、第3位は「北朝鮮の核問題と日本人拉致」 問題です。第4位は「ヤンキース・松井秀喜外野手の大活やく」、第6位は「『千と千尋の神隠 し』のアカデミー賞オスカーを獲得」、第7位は「6万年ぶりに大接近した火星」、第8位は 「04年アテネ五輪を控え、各種目の世界大会での日本人スポーツ選手の活やく」となっていま す。社会・生活に関するものでは、第9位に「ヤミ金融」、第10位に「六本木ヒルズ」となりま した。特徴的なこととしては有事法制、マニフェスト等の国内政治に関する項目はいずれもベ スト10には入っていません。 調査・集計方法  この調査は2003年1月より11月までに報道された<国際情勢><政治/経済><産業/情報><社会 /生活><環境/科学><文化/スポーツ>の6つの大分野ごとの出来事から小学4年生〜中学3年生ま での子ども達に2003年の10大ニュースを選んでもらうことを目的に実施されました。  調査方法は、現代用語検定協会の理事により候補ニュース20を選定して応募シートを作成、そのシー トに一人ひとりのベスト10を記入してもらう方法をとりました(20項目以外のものは記述式)。調査期 間は03年12月1日より12月20日までとし、協力の学習塾・私学での直接アンケート及びホームページ へのメール投票を行い、投票総数は1150通で無効回答はありませんでした。  集計方法は各アンケート1位記入項目を10ポイント、10位を1ポイントとして、各ニュース項目ごと に集計し、ポイント数によりランク付けされています。  J・J大賞『100字コメントコンクール』は、「あなたが重大ニュースのベスト10に選ん だできごとのひとつを選び、そのできごとに関するコメント(意見や解説など)を100字 前後に書きなさい」という記述式によるアンケートです。「100字コメント」の記入は全有 効アンケート数の約90%におよび、これは例年より約10%ほど増えています。その理由は さまざまな要因が考えられますが、「100字コメント」のテーマが、「イラク戦争」「自衛隊 のイラク派遣」に集中していることから、子ども達にとっても、この問題に対して、自ら の意見を述べたいとする意欲が高まったと推測できます。「イラク戦争」「自衛隊イラク派 遣」をテーマとした『100字コメント』は全コメント記入の約65%で、その内容の骨子の 多くは「イラク戦争」や「自衛隊派遣」に否定的なものが大多数でした。  国際情勢に関しては「イラク戦争」が大多数を占めましたが、次いで多かったのは「北 朝鮮の核問題」で、その他についてはほとんどコメントは寄せられませんでした。また、 国内政治がらみでは、「自衛隊イラク派遣」以外では「拉致問題」のコメントと「参院 選」についてのコメント以外はなく、国内政治への関心はあまり高くなかったと推測され ます。しかし、社会生活につながるテーマについては関心が高く、「ヤミ金融」「SAR S」「住基ネット」「少年犯罪」に関する意見がよせられました。  「イラク戦争」「自衛隊のイラク派遣」を除いて『100字コメント』で多くの意見が寄せ られたベスト3は、▼「ゴジラブーム」(松井秀喜外野手の活やく)▼「火星ブーム」(6 万年ぶりの地球接近)▼「千と千尋の神隠し」(アカデミー賞受賞)の項目でした。 <大 賞> 「戦争はゲーム?」 戦争とは、チェスと同じ様なゲームだと思う。犠牲を払って勝つこのゲームの果てに、一 体何があったのだろうか? 私は何も無いと思う。何故なら、未だにゲームは続いている からだ。もはや、以前より犠牲者は増えつつある。問題はどうやって勝つかではなくどう 止めるか。私は、優しさというアイテムが必要だと思う。 (中学3年/安藤佳菜) 「『人間らしさ』を失った人間」 ヤミ金融にとどまらず、リフォーム詐欺、オレオレ詐欺など、そこまで非人道的な事をし てまで金が欲しいのかい、というような事件が多発した。だまされる方も迂闊であるが、 だます側の人間性を疑いたくなる。愚者には厳罰を以て臨むのが良いと思う。「人間らし さ」を失った人間が多過ぎる。 (中学3年/村永俊輔) 「イラク戦争への2つの疑問」 私の中での重大ニュースは、やはりイラク戦争である。イラクが兵器を持っているから査 察をし、戦争をするのならアメリカの査察はだれがするのか。そして、イラクに石油がな かったら、アメリカは戦争をしていたのか。これが私の2つの疑問であり、重大ニュース である。  ビジョン・ゼミナール(中学3年/柴田翔平)桂川中 <優秀賞> 「人間の本質」 世の中金である。人は今の世の中は金で全て解決できると思っている。だから人はそれの ために鬼になり悪魔にもなれるのだ。しかし私には弟がいる。その弟のためならなんでも できる。それが人間の本質ではないだろうか。今の世の中は間違っている。私は愛に生き る。私の胸の中は愛でいっぱいだ。 (中学3年/松山真衣) 「勝手に人間を区別するな」 十人十色という言葉があるように、人にはそれぞれ個性があり、意見がある。その意見に 良い悪いなどの区別はない。では一体誰が決めるのだ? 勝手に人間が区別しているので はないか? 善人と悪人という型にあてはめて。もし世界が真の平和を臨むのなら、その 区別をなくす事が第一歩なのではないだろうか。 (中学3年/安田侑加) 「有権者の人々へ」 有権者の人々は本当にその政党の長所や短所を分かって投票していただろうか。私は子供 の世界と同じように「流れ」というものがあってこの党は人気があるからなどで決めてい る感じがする。その「流れ」が無くならない限り、いい日本へと変わっていくのは難しい と思う。 (中学3年/小澤彩) 「こんなにも人間を悲しませた年」 何か違う。こんなにも人間を悲しませた年は何の前兆もなく起こった同時多発テロ、いや、 これが前兆そのものだったのかもしれない。今、世界は平和なはずなのに、なぜ戦争が起 こったのか、戦争は人類の過ちなのに、それに気づかず大人が繰り返す。大人は、こんな 世界を“平和”というのだろうか? (中学3年/勝間田みなみ) 「確信がなく行動する政府」 日本やアメリカの政府は確信がないのに、行動をしすぎだと思う。というのも、アメリカ がイラクに攻撃したのは大量破壊兵器があるという口実だったが確信はなく、今でも見付 かっていないし、日本だって個人情報がもれないという確信がないのに住基ネットを稼動 し、安全の確認がないのに自衛隊を派遣しようとしていると思う。 (中学3年/浅井健裕) 「『千と千尋の神隠し』から」 今でもどんどんと減りつづけている自然によって失ったものはたくさんあると思います。 この映画で僕は美しい川や森、虫、カエルなどが大切な存在にあることに気づかされたし、 今の時代にもあってほしいから、もっと物や自然を大事にすることが今の時代に必要なこ とだと思いました。 (中学3年/村島洋人) 「子供の考えも聞いて!」 日本は何の為にイラクへ自衛隊を派遣するのか。どのような理由で小泉首相は決断したの か。多くの人が死んでしまう可能性があるのに、大人の中のほんの少数の人達で決めてし まうのか。これは日本人全員の問題だ。なぜ子供の考えを聞こうとしていないのだろうか。 老若男女関係なく考えるべき問題だと思う。 (中学3年/渡邉理美) 「イラク市民にとけ込め」 イラク復興支援に自衛隊が派遣されると言う。武器を持った軍隊が乗り込んで「やってや る」というのでは反発を招くだろう。志半ばで殺害された外交官のように市民にとけ込ん でほしい。何が本当に市民生活に必要なのか? どうすれば真の復興になるのかを考えて ほしい。平和と生活の安定に貢献してほしい。 (中学2年/稲吉太郎) 「イラク戦争のおかしさ」 私は、イラク戦争のおかしさについて述べたい。アメリカは、なぜもあんなにイラクにこ だわったのだろうか。イラクに石油が無ければ、イラク戦争はおこらなかっただろう。も し、北朝鮮に石油があれば、たぶん北朝鮮戦争になっていたはずだ。アメリカは正義のた めに戦ったのではない。自分の利益のためだ。  ビジョン・ゼミナール(中学3年/柴田和輝)桂川中 「日本の未来への選択」 私はイラクへの自衛隊派遣についてとても複雑な考えを抱いています。それは、アメリカ の指示に従うか、日本の憲法を犯すかという選択をせまられるからです。私の意見ではイ ラクに自衛隊を派遣してはいけないと思います。どちらにせよ、この選択は日本の未来に も関係してくることだと思います。  ビジョン・ゼミナール(中学3年/田原将吾)筑穂中 <入 賞> 「住基ネットと個人の情報」 私が注目したのは住基ネットです。住基ネットは個人の情報をすべてまとめて個人個人の 情報に数字をつけるというまさに電子政府構想です。確かに住基ネットにすると良い点が あるだろうが悪い点の方が多いと思う。現に個人の情報がもれている。「こんなことを許し ていいだろうか?」と問いたい。 (中学3年/増田雄一) 「6万年ぶりの火星接近」 「すごい」。私はその一言しか出てこなかった。今年8月、火星が地球に大接近した。しか もなんと6万年ぶりというからおどろきだ。私は本当に偶然なのか…それとも運命なのか …火星を見て私は地球に生きているということをしっかり感じた。また火星が接近したら じっくり見よう! 未来の私たち!! (中学2年/菊池光葉) 「『ゴジラブーム』に思うこと」 最近は暗い話題が多くてTVをつけてもイラクのことやゆうかい事件など明るい話題がな かなかない中で、「ゴジラブーム」は日本の数少い明るい話題のひとつです。日本を代表す る野球の名選手がアメリカに行って活やくしてるということは、アメリカと日本の平和や 貿易にもつながるし、なによりこの場合松井選手自身の勉強になると思います。松井さん、 2年目も明るい話題を待ってます。 (中学1年/三坂剛司) 「失われていく『思いやり』の心」 このところ、凶悪な犯罪が増えている。その中には少年達も多い。テレビや新聞などを見 ていると、くだらない理由が多くあきれてくる。やはり、世の中が豊かになってくると思 いやりの心が徐々に失われていくような気がする。そうならないようにするために、僕に できることをやっていきたいと思う。 (中学2年/荒川光平) 「“言葉の戦争”」 戦争なんてしてほしくない、ずっと平和であり続けてほしい。残虐で卑劣な戦争が起きる のは国同士の仲が良いとは言えないからだ。だから、そのためにはたくさんの話し合いを 行って“言葉の戦争”を繰り広げ、一歩一歩確実に物事を進めていけば、そんな戦争は起 こらず平和な未来が見えてくるだろう。 (中学3年/餅田沙織) 「ブッシュさんはえらい?!」 私は、アメリカがやったイラク戦争には賛成です。なぜなら、フセインが国民を束縛して しまい言論の自由を奪ってしまうフセインなんか人間として最悪です。それを捕まえてイ ラク人に自由を与えてくれるブッシュさんはえらいと思った。ほこりに思えます。(たぶ ん) (中学3年/高橋梨沙) 「まるで子供のけんか−拉致報道」 北朝鮮の日本人拉致問題は、北朝鮮の人達だけが悪いわけではない。日本人が北朝鮮の人 達の悪いところだけを報道するから北朝鮮の人達も反発して日本人を悪く言う。まるで子 供のけんかではないだろうか。どちらかが冷静になり現状を見れば解決できる問題なのだ から。 (中学3年/小川静香) 「無限大に想像を広げさせてくれる星」 6万年ぶりに火星を見られた私達はとても運が良い。夜空に赤く光輝く光景はなんともい えないすばらしさだった。この火星という星についてはいろいろな伝説(?)があって自 分はこのことには実際に行って確かめることしかできないが、私達の想像を無限大に広げ てくれる星でこの星こそが小さな小宇宙だと思う。 (中学2年/田村江梨奈) 「SARS(サーズ)は人間のせい」 今年「SARS」がおこったのは、人間のせいだと思いました。それは、今、地球の人は 車の排気ガスなどで、地球の空気をよごしてしまっていたり、色々なことをしているから だと思います。だから人間は自分を殺していることといっしょ。 (小学6年/菊池真未) 「失うものが多い戦争」 私は、なんで戦争というものをするのかがわからない。イラク戦争によって関係のない人 が何人くらい亡くなったのだろう。なぜ私達は口があって話せるのに、話し合いで解決し ないのだろう。戦争ではお金とか領土とか得られるけど、得るものより失うものの方がと ても多い。私は、戦争のない世界を作りたい。 (中学2年/川瀬千夏) 「地球というわく星で生まれた人間同士」 イラク戦争は、とってもいやな事件でした。どうしてここまでやるのだろう、どうして戦 争をしなければいけないのだろう、平和という言葉があるじゃないか、平和を愛しそして みんなが仲よくすればいいじゃないか、地球というわく星で生まれた人間同士なのだから。 (小学5年/松崎静葉) 「日本人としての誇り」 今年4月、日本から新たな大リーガーが生まれた。彼の名前は、松井秀喜。数多くの名プ レーヤーが活躍している中で、存在感を表していくのは困難だと思った。しかし彼は、そ の重圧にも負けず、様々な名プレーを生んだ。いまや彼は、世界の松井となっている。同 じ日本人として、私は誇りに思う。  ビジョン・ゼミナール(中学3年/西島和矢)筑穂中 ●       現代用語検定協会の活動  1995年11月発足以来、「現代用語能力検定」「作文・小論文検定」を主催、実施す る。定期刊行物としてメールマガジン「現代がわかる」(月2回発信)と月刊「時事学 習」を発行する他、現代用語学習用の教材等も開発・出版。主な編著書に「現代用語 の基礎知識 学習版」「図解でわかる現代のしくみ」「図解でわかる現代社会」「図解で わかるデジタル社会」(いずれも自由国民社刊)、「最新ニュースが一目でわかる!『図 解 時事用語』」(高橋書店刊)などがある。2002年8月に内閣府の特定非営利活動法 人として認可。 NPO現代用語検定協会役員 代表理事=荒井治郎(元NHK理事、元NHK学園理事長)/副代表理事(順不同)=井手重昭 (昭和女子大学教授、近代文化研究所所長、元NHK解説委員)、大野幹憲(弁護士)/理事=長 浜昭麿(元NHK通信教育部長)、片岡 輝(東京家政大学学長、詩人、児童文学者)、畑江嘉門 (月刊「時事学習」編集長、「現代用語の基礎知識学習版」編集室チーフ)、浅沼美末(アルス プロジェクト代表/事務局長)/幹事=安尾久夫(元中学校校長) - 7 -