
鋭く尖った光る目と
もっと尖った、髪と爪
大きな口と、不ぞろいの歯
黒い服に身を包み
いびつな帽子をかぶってる。
背中に大きなスプーンを背負い
いつもニヤリと笑ってる
そいつは夜にやってくる。
不幸を食べにやってくる。
不幸の味は、甘く、芳醇、優しい香り。
だからそいつは願ってる。
君や周りの人たちが
もっと不幸になることを。
そいつは夜にやってくる。
香りに誘われやってくる。
目当ての家を見つけたら
今日もこっそり、窓開けて
寝ている誰かの枕元
背中のスプーンを取り出して
大きな口を、もっと大きく開けたなら
ばりばり、がりがり
むしゃむしゃ むしゃむしゃ
ばりばり、がりがり
むしゃむしゃ ごくり
とても大きな音立てて
不幸を一気にたいらげる。
今日もそいつは満足げ
お腹いっぱい食べたなら
そっとハンカチを取り出して
口を拭いて去っていく。
そいつが言うには、幸福は、
苦く、すっぱく、まずすぎて
食べれたものじゃないらしい。
小さな幸福と違って、
不幸は、大きく、なくならない。
そいつは、いつだって甘い不幸を食べられる。
だからそいつは、いつだって幸せ。
そして、そいつの名前も、幸せ。
そいつは夜にやってくる。
甘い甘い、不幸を求め
星降る夜にやってくる。